映画館に鳴り響いた音(音楽書)
戦前東京の映画館と音文化の近代

春秋社

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かつてスクリーンを取り巻いていた、多彩な音のありようを拾い集めるかつてない試み!

収載内容

  • 序 章
  • 第一節 西洋音楽体験の場としての映画館――洋楽受容の文化装置
  • 第二節 映画上映の音響実践をめぐるグローバル・ヒストリー
  • 第三節 戦前東京における映画館の音文化
  • 本書の構成
  • I サイレント時代1 洋画上映と洋楽伴奏の発達
  • 第一章 草創期の映画館に響いた音――映画興行の発達と音響実践の多様化
  • 第一節 映画興行事始め――草創期の映画上映と二つの音響実践のアプローチ
  • 第二節 映画館のはじまりと物語映画の音響実践
  • 第三節 映画館の増加と音響実践の多様化
  • 第二章 日本の映画観客は西洋音楽をどう聴いたか――洋画専門館における休憩奏楽と映画伴奏
  • 第一節 洋画専門館と管弦楽合奏の拡大
  • 第二節 洋画ファンの「洋楽」への熱狂と映画文化の近代化
  • 第三節 洋画ファンは伴奏音楽をどう聞いたか
  • 第三章 暗闇のなかの弁士と楽士――グローバルな伴奏音楽とローカルな映画説明の交差
  • 第一節 「映画劇」論における映画説明と映画伴奏――洋画上映の「国内標準」の形成
  • 第二節 グローバルな音楽実践とローカルな映画説明の衝突
  • 第三節 映画説明と映画伴奏の「近代化」
  • 第四節 映画伴奏における演出設計の複雑化――伴奏指定資料のさらなる到来
  • II サイレント時代2 邦画上映と音響実践の変容
  • 第四章 日本映画はいかにして西洋音楽で伴奏されるようになったか――純映画劇運動と松竹キネマの実践
  • 第一節 舞台上演モデルの音響実践――声色弁士と囃子鳴物
  • 第二節 日本映画の改革と洋楽伴奏
  • 第三節 松竹直営館と西洋音楽――洋画上映モデルと映画館の改革
  • 第五章 松平信博による映画音楽の作曲――小唄映画の流行と日活作曲部の周辺
  • 第一節 日活作曲部の誕生と松平信博
  • 第二節 日活作曲部と小唄映画の流行
  • 第三節 松平信博の伴奏音楽論――純映画劇運動の反アトラクション志向
  • 第四節 浅草三友館における松平信博の映画劇伴奏
  • 第六章 日本映画における映画琵琶の展開――日本映画琵琶協会とその周辺
  • 第一節 純映画劇運動と東京での映画琵琶の展開
  • 第二節 君塚篁陵と日本映画琵琶協会
  • 第三節 映画琵琶台本にみる映画琵琶の実践
  • 第七章 時代劇伴奏の折衷性――和洋合奏・選曲・新作伴奏曲
  • 第一節 日活時代劇の興行実践と和洋合奏の導入――浅草富士館の実践
  • 第二節 日活時代劇における折衷的選曲――神田日活館における選曲実践
  • 第三節 松平信博の時代劇伴奏曲――折衷的伴奏曲の実態
  • 第四節 一九二〇年代の邦画上映館の休憩奏楽
  • III トーキー時代 トーキー映画と音響実践の再編成
  • 第八章 トーキー転換期の映画館と録音された音響――音楽メディアとしてのトーキー映画の興行
  • 第一節 初期トーキーとサイレント時代の音響実践
  • 第二節 トーキー転換期の邦画上映館における音楽文化
  • 第三節 洋画トーキー上映の標準化と伴奏音楽無用論
  • 第四節 レコード試聴空間としての映画館
  • 第九章 邦画トーキーと映画伴奏の再標準化――映画監督・作曲家・映画観客
  • 第一節 松竹サウンド版映画にみるトーキーへの転換
  • 第二節 トーキー映画製作における音楽伴奏の再標準化――映画監督と音響演出
  • 第三節 トーキー撮影所の音楽部と映画伴奏の再標準化
  • 第四節 映画伴奏における洋楽化の展開と課題
  • 第十章 トーキー転換期における語りの再編成――解説版トーキー/浪曲トーキー再考
  • 第一節 解説版トーキーと音響実践の地域性
  • 第二節 浪曲トーキーの視聴覚様式とその受容
  • 第三節 スタージェスの「ナラタージュ」とその受容の多様性
  • 第四節 「新型式ナラタージュ」と物語世界の浪曲師たち
  • 第十一章 日本映画におけるリアリズムと伴奏音楽無用論――深井史郎とその周辺
  • 第一節 日本映画界における「リアリズム」論
  • 第二節 映画のリアリズム論と伴奏音楽無用論
  • 第三節 深井史郎のリアリズム映画での伴奏音楽無用論
  • 第四節 プロパガンダ装置としての映画館のスピーカー
  • 終 章
  • 第一節 映画音響のグローバル・ヒストリーと東京の映画館
  • 第二節 映画音響の標準性をめぐる問題の系譜
  • あとがき
  • 参考文献
  • 索引
1

序 章

2

第一節 西洋音楽体験の場としての映画館――洋楽受容の文化装置

3

第二節 映画上映の音響実践をめぐるグローバル・ヒストリー

4

第三節 戦前東京における映画館の音文化

5

本書の構成

6

I サイレント時代1 洋画上映と洋楽伴奏の発達

7

第一章 草創期の映画館に響いた音――映画興行の発達と音響実践の多様化

8

第一節 映画興行事始め――草創期の映画上映と二つの音響実践のアプローチ

9

第二節 映画館のはじまりと物語映画の音響実践

10

第三節 映画館の増加と音響実践の多様化

11

第二章 日本の映画観客は西洋音楽をどう聴いたか――洋画専門館における休憩奏楽と映画伴奏

12

第一節 洋画専門館と管弦楽合奏の拡大

13

第二節 洋画ファンの「洋楽」への熱狂と映画文化の近代化

14

第三節 洋画ファンは伴奏音楽をどう聞いたか

15

第三章 暗闇のなかの弁士と楽士――グローバルな伴奏音楽とローカルな映画説明の交差

16

第一節 「映画劇」論における映画説明と映画伴奏――洋画上映の「国内標準」の形成

17

第二節 グローバルな音楽実践とローカルな映画説明の衝突

18

第三節 映画説明と映画伴奏の「近代化」

19

第四節 映画伴奏における演出設計の複雑化――伴奏指定資料のさらなる到来

20

II サイレント時代2 邦画上映と音響実践の変容

21

第四章 日本映画はいかにして西洋音楽で伴奏されるようになったか――純映画劇運動と松竹キネマの実践

22

第一節 舞台上演モデルの音響実践――声色弁士と囃子鳴物

23

第二節 日本映画の改革と洋楽伴奏

24

第三節 松竹直営館と西洋音楽――洋画上映モデルと映画館の改革

25

第五章 松平信博による映画音楽の作曲――小唄映画の流行と日活作曲部の周辺

26

第一節 日活作曲部の誕生と松平信博

27

第二節 日活作曲部と小唄映画の流行

28

第三節 松平信博の伴奏音楽論――純映画劇運動の反アトラクション志向

29

第四節 浅草三友館における松平信博の映画劇伴奏

30

第六章 日本映画における映画琵琶の展開――日本映画琵琶協会とその周辺

31

第一節 純映画劇運動と東京での映画琵琶の展開

32

第二節 君塚篁陵と日本映画琵琶協会

33

第三節 映画琵琶台本にみる映画琵琶の実践

34

第七章 時代劇伴奏の折衷性――和洋合奏・選曲・新作伴奏曲

35

第一節 日活時代劇の興行実践と和洋合奏の導入――浅草富士館の実践

36

第二節 日活時代劇における折衷的選曲――神田日活館における選曲実践

37

第三節 松平信博の時代劇伴奏曲――折衷的伴奏曲の実態

38

第四節 一九二〇年代の邦画上映館の休憩奏楽

39

III トーキー時代 トーキー映画と音響実践の再編成

40

第八章 トーキー転換期の映画館と録音された音響――音楽メディアとしてのトーキー映画の興行

41

第一節 初期トーキーとサイレント時代の音響実践

42

第二節 トーキー転換期の邦画上映館における音楽文化

43

第三節 洋画トーキー上映の標準化と伴奏音楽無用論

44

第四節 レコード試聴空間としての映画館

45

第九章 邦画トーキーと映画伴奏の再標準化――映画監督・作曲家・映画観客

46

第一節 松竹サウンド版映画にみるトーキーへの転換

47

第二節 トーキー映画製作における音楽伴奏の再標準化――映画監督と音響演出

48

第三節 トーキー撮影所の音楽部と映画伴奏の再標準化

49

第四節 映画伴奏における洋楽化の展開と課題

50

第十章 トーキー転換期における語りの再編成――解説版トーキー/浪曲トーキー再考

51

第一節 解説版トーキーと音響実践の地域性

52

第二節 浪曲トーキーの視聴覚様式とその受容

53

第三節 スタージェスの「ナラタージュ」とその受容の多様性

54

第四節 「新型式ナラタージュ」と物語世界の浪曲師たち

55

第十一章 日本映画におけるリアリズムと伴奏音楽無用論――深井史郎とその周辺

56

第一節 日本映画界における「リアリズム」論

57

第二節 映画のリアリズム論と伴奏音楽無用論

58

第三節 深井史郎のリアリズム映画での伴奏音楽無用論

59

第四節 プロパガンダ装置としての映画館のスピーカー

60

終 章

61

第一節 映画音響のグローバル・ヒストリーと東京の映画館

62

第二節 映画音響の標準性をめぐる問題の系譜

63

64

あとがき

65

参考文献

66

索引

商品詳細
商品説明 映画館ではスクリーンの沈黙を覆い隠すように、サイレント時代から現代にいたるまでさまざまな音響が響き続けてきた。「サイレント映画」の時代にはサイレント映像に弁士や楽隊が実演で音響実践を行なっていたが、その後のサウンド映画の時代にはサイレント映像に録音で音響を流すようになった。しかしスクリーンの前に聞こえてくる音響の種類が変わったということだけではない。映像そのものも変化するなかで、映像がともなう音響も、映像と音響の関係性も変化してきたのである。
サイレント映画の時代、日本の映画館では弁士(あるいは説明者、解説者)と呼ばれた語り手が台詞や解説を語り、音楽家たちが映画の伴奏音楽を生演奏していた。この音楽家たちは映画の上映中だけでなく、上映の合間に余興演奏を行なう場合もあった。当時の映画館は洋楽受容の拠点として、西洋音楽が鳴り響いたことはよく知られているが、それだけではなく、囃子鳴物、長唄、琵琶唄、浪花節、義太夫節、新内節、さらには西洋音楽と日本音楽が折衷された和洋合奏という合奏形式も人気を博していた。しかし、現代の日本の映画やドラマで日本音楽が出てくることはきわめて稀である。むしろオーケストラが流れている方が耳馴染みがあるような気さえする。それほど西洋音楽的な音楽語法が現代の映画体験にとって標準になっている。
本書では、サイレント時代からトーキー初期の日本の映画館でスクリーンを前にどのような音が鳴り響いたのかを問い、それが歴史のなかでどのような音文化を織りなしていたかを明らかにしようとする試みである。具体的には戦前の東京の事例を手がかりに、日本の映画館における音文化の歴史を多角的に明らかにする。
残された言説や限られた資料をつぶさに掘り起こし、日本映画と外国映画、弁士と楽士、邦楽と洋楽、実演とレコードなど、様々な事象が入り交じって豊穣な文化を作り出していた実態を描き出した力作。
商品番号 F0226960
ジャンル 書籍・辞典
サイズ A5
ページ数 780
著者 柴田康太郎
ISBNコード 9784393930496

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